日記「花ひらく人生」

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2008年08月20日

素直な心で、頭を垂れる。

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帰省先で花火を眺めた方も
いらっしゃることでしょう。
わたしも以前は夫の実家でお盆を過ごしましたが、
いまは帰省する息子を迎える立場になりました。
20年という歳月を感じさせられます。

まだ視野の定かでない、首のすわらない息子を
恐る恐る抱えて保育園に運んでいったことを思い出します。
育児休暇という制度などなかった時代のことです。

ほんとうに未熟な母親でしたから、
人さまの助けを借りてなんとか1日を終え、
眠りに就くのが精一杯という毎日でした。

深夜残業が当たり前の職場だったので、泊まりこみで
シッターさんに子供の面倒を見ていただいたことも度々でした。
実家にもずいぶん無理を通しました。
どんなに遅く帰っても母親の気配を察知して子供は必ずパッチリと目を覚まします。
明け方まで繰り返しせがまれて絵本を読み聞かせしていました。
当然、保育園は遅刻。先生に深々と頭を下げて一日が始まります。
子供が発熱すれば職場に謝って駆けつけ、園長先生にお詫びをし、
病院の先生には「こんなになるまで」と叱られ。
人に頭を下げてばかりの毎日でした。

自分の生きがいとして我儘で仕事をしているという心の負い目がありましたし、
実際迷惑をかけているのですから、誰に何を言われても我慢するしかありません。
「子供を預けて働くなんて」と見ず知らずの人から悪し様に言われても、
後輩から嫌味を言われても、ただただ黙って、
頭を垂れて聞き過ごすしかありません。
(その彼女が10年後に自分も出産を経験し
「あのときの先輩の苦労がわかりました」と言ってきたときはクスリとしました)

出産はおろか結婚している女性がひとりもおらず、
職務は「究極のエレガンス」を追究すること、という職場でしたから、
絶対に「妊婦」に見えないようにとマタニティ・ウエアは一切買わず、
出産直前まで普通のミニスカートやワンピースを自分なりに工夫して着こなしていました。
当然、通勤電車で席を代わってもらうこともなく、
一緒に仕事をしていたカメラマンは最後まで妊娠に気がつきませんでした。
そういえば臨月にナンパされたこともありましたっけ・・・

子育て中は保育園に遅刻をしても髪を巻き、コーディネイトもおこたりなく
「子持ちだから」と職場で侮られないよう完全武装していました。
いま思うと滑稽ですね。

自分は孤軍奮闘していたつもりでしたが
大勢の人が影ながら応援し、心配し、ハラハラしながら見守っていてくれたから
子供も無事に成長することができたのですね。
渦中は自分のことに精一杯で味わうゆとりもなかった、
人の心というものを後になって有難く思い返すようになります。

残業の少ない部署に変えてもらったことを報告したときに、
「よかった~このままではお母さんがどうなるかと心配していたんですよ」と
喜んでくださった園長先生。
いつも厳しいお小言を頂戴して肩身の狭い思いをしていたのですが、
真心に触れて、思わず涙しました。

パーティ会場の人込みで立っていたら、そっと椅子を運んでくれた先輩。
素行が悪いと陰口を耳にすることも多かったのですが、
(人を思いやる温かい心の持ち主なのだ)と
はっと頭が下がるばかりでした。

他人に頭を下げる立場にならないと見えてこないことって、いっぱいあるのですね。

どんな立場になっても、言い訳をせず、誰に対しても素直な心で
頭を下げることができる自分でありますように。

蜩の声を聞きながら、心に言い聞かせています。

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